“図面をスキャンしてデータ化する方法は? 3つの管理ポイントで図面データを長期間守る”

多くの紙図面が事務所にあることで、保管場所をとるだけではなく、必要な図面を直ぐに探せる様にするために管理する人の労力も必要になります。

その場合、大量にある紙の図面をスキャンしてデータ化することで、管理する場所や労力を最小限にすることができます。

しかし図面と一言で言っても、保存された図面の状態は、図面ファイルに入ったり、筒に丸めて入っていたりするシート状の図面や、小さく折り畳んだ図面、大きな図面をA4サイズに折り畳んで左綴じして製本にした図面、竣工図・施工図に代表される二つ折り製本(背貼り製本)された図面など様々です。

これらの図面をスキャンしてデータ化したとしても、そのデータ化した図面をどのように管理すればいいのかも担当者を悩ませる原因になっているでしょう。
そこで今回は、紙の図面をスキャンしてデータ化する方法と、データ化した図面を管理する3つのポイントを詳しく解説していきます。


1.図面をスキャンしてデータ化する主な方法は?

図面の状態スキャナーの種類別データ化方法
シート状の図面「シートスルースキャナー」は、原稿を端から通して、ローラーで原稿を送り、固定されたセンサーの上を通過した図面を読み取ります。
折り畳んだ状態の図面「フラットベットスキャナー」は、平らなガラス台に原稿を伏せておいて、ガラスの下にあるセンサーを移動させて図面を読み取ります。
二つ折り製本図面「オーバーヘッドスキャナー」は、スキャンセンサーが原稿台から約1.5m上部にあり、上方の離れた位置からスキャンする方式で読み取ります。原稿を上向きの状態でスキャンする事が出来るので。製本を裏返す必要がなく、ページをめくるだけで上部からスキャンすることができます。二つ折り製本はフラットベットスキャナーでも対応可能ですが、フラットベットスキャナーより効率的にスキャンすることができます。

紙の図面をスキャンする主な方法は、図面形状に適した機械を使用してスキャンしますが、当社では上の表にある3種類の機械を駆使してあらゆる図面をスキャン、データ化します。


マップケースや図面ファイルに入った、1枚ずつ拡がったシート状の紙図面の場合は、「シートスルースキャナー」。

建築確認申請書など、A1やA2図面を、A4やB5サイズに折り畳んで書類と一緒にとじている場合(折込み製本)は、留めているビスを外す事ができれば、図面を伸ばしてシートスルースキャナーを使用します。

しかし工事請負契約書など改ざん防止のため釘打ちやポリパイプで固定されたもの、(古いものでは細い竹が打ち込んであるものなどもあります)で、製本を解体することができない場合(固定製本)は、「フラットベットスキャナー」を使用。

最後に、1枚の図面を見開きで見られるように、二つに折った図面の背中どうしを糊付けし、見開き中央のノドの部分が完全に開くよう冊子にした二つ折りの製本(観音製本)図面は効率良くスキャンするために、「オーバーヘッドスキャナー」を使用します。

当社で扱う各スキャナーについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

スキャンした紙の図面は、閲覧用にPDFやTIFFなど汎用性のあるデータ形式で保存するのが一般的です。

図面をスキャンしてデータ化する主な用途は、建設会社さんの自社が手がけた施工物件の改修、増築、取り壊しの際、構造の確認ができる様に残しておきたい。

また瑕疵や訴訟などの万一に備えて図面情報を保存しておきたいというものです。

ほとんどの場合、法的義務のある保存期間を過ぎたものでも、自社施工物件に関しての図面情報は保存しておきたいと言われます。
業歴の長い建設会社さんであれば、書庫に竣工図、施工図、建設工事請負契約書、建築確認申請書類、などが山積みになっている事でしょう。

それら一切を、全てスキャニングによってデータ化し、便利に図面情報を参照できる様にするのが当社のスキャンサービスです。

ほとんどの場合、保存データのファイルフォーマットはPDF形式にします。
PDFのしおり機能で本の目次と同様の役割を持たせる事ができ、ファイルをタグ付きデータにもできます。
また、スキャン対象が文書書類の場合、OCR(文字認識)処理もしやすいなど、データを閲覧する際に、いろいろ検索に便利な付加情報を持たせることが出来るからです。
建築物件ごとで1つのファイルとし、エクセルで物件一覧表を作成し、物件名称や物件番号をクリックする事で探したい物件のPDFデータが立ち上がるリンク機能を持たせることも出来ます。

当社では、紙図面のスキャンだけではなく、データ化された図面情報の活用の仕方もお客様と一緒に考えてご提案いたします。
また、データ化の後、必要のなくなった図面は、融解処理を承る事も多くあります。
融解処理については、書類と書類をはさむクリップなどがついた状態でも、そのまま箱に詰めるだけで処分することができ、処理を行う業者も箱を開けることがないので、情報漏洩のリスクを最小限に紙の図面を処分することができます。
当社と契約の処理業者により、融解処理証明の発行も可能です。

 

2.スキャンしてデータ化した図面の保管方法は? 3つのポイント

図面をスキャンしてデータ化すれば、紙の図面と比べて管理や共有がしやすいので、とても扱いやすくなります。

一方で、スキャンした図面は「データ」として慎重に扱わなければ、紛失や破損、漏洩などのトラブルが起こる可能性があります。

では、スキャンしてデータ化した図面はどのように管理すればいいのでしょうか。

ここからはスキャンしてデータ化した図面の保管方法を3つご紹介いたします。


2-1.図面データのバックアップはCD-ROM、DVD-ROMで保管する

バックアップ

先に結論を言うと、スキャンしてデータ化した図面のバックアップは「CD」もしくは「DVD」で保管する事をお勧めしています。

スキャンしてデータ化した図面の納品方法としては、セキュリティー面を考え、当社ではSharePointを利用しています。スキャンデータをクラウドストレージでお客様と共有し、そこからダウンロードしていただく事を基本としています。

ご要望によってCDやDVDに書き込み、若しくはハードディスクで納品する事もあります。

納品データは、そのままだと実際の運用はし難いため、お客様が自社内のサーバーやクラウド上に保存して、社内でデータの共有が出来る様になど、お客様ごとに運用しやすく工夫をされています。

そこで見落としがちなのが、バックアップの問題です。

折角、大量の紙図面をデータ出来ても、万が一、図面データが損傷した場合は取り返しがつかなくなります。当社では、万が一に備えたバックアップはCDやDVDで行うことをお勧めしています。

なぜスキャンによってデータ化した図面をCDやDVDでバックアップをしたほうが良いのかというと、USBメモリやSDカード、SSDなどのフラッシュメモリや、外付けHDDなどのハードディスクドライブと比べると寿命が長いからです。

CDとDVDの寿命は10〜30年と言われていますが、湿気や紫外線の影響を受けやすいので保管環境を整える必要があります。

また、海外製品のCDとDVDは寿命0年のものもあるので、できれば日本製のCD、DVDを選ぶようにしましょう。

必要に応じて、「長期保存用光ディスク」と呼ばれる「BD-R」や「M-DISC」をお勧めする場合もあります。

BD-RやM-DISCは、100〜1,000年の寿命を誇りますが、書き込みに専用ドライブが必要なので、ここでは一般的なCDやDVDをおすすめします。


2-2. 5〜10年おきにデータを新しくバックアップし直す

先ほどお話ししたように、記録媒体は1度スキャンした図面データを記録しておけば安心というわけではありません。

記録媒体には寿命があるので、記録媒体の保存状態やメーカーによっては早くにスキャンした図面データの劣化が始まる可能性があります。

スキャンしてデータ化した図面が劣化すると、図面データそのものが見られなくなるリスクがあるので、5〜10年おきに、CDやDVDなど新しい記録媒体にスキャンしてデータ化した図面を保存し直すようにしましょう。


2-3.法人向けウイルス対策ソフトをインストールしておく

スキャンしてデータ化した図面を管理する上で気をつけたいのは、データの劣化や破損だけではありません。

ウイルスによる情報漏洩も心配しなければならないので、法人向けのウイルソフトをインストールしておきましょう。

法人向けのウイルスソフトは、個人向けのウイルスソフトと比べると、複数台のパソコンを集中的に管理者側で管理することができるので、一括でウイルスソフトのアップデートや対象端末の制御が可能です。

パソコンだけではなくタブレットやスマートフォンのウイルス対策もできます。

ビジネス向けウイルス対策ソフトを導入する際は、スキャンした図面データの漏洩を防げるように、新種のウイルスにも対応していることが重要です。

未知のウイルスを検出する「ヒューリスティックススキャン機能」搭載の、ビジネス向けウイルス対策ソフトを導入して、スキャンしてデータ化した図面を守りましょう。

3.弊社はA1サイズの製本を断裁せずにスキャンすることができます

A1やA2の二つ折り製本された竣工図、施工図、建築確認申請書、工事請負契約書、、電気設備図、機械設備図、水道ガスの配管図、給排水図などの大きなサイズの紙の図面管理は大変です。

場所を取るだけではなく、管理や共有の不便さ、古い紙図面の場合、経年劣化によって傷んでしまう心配もあります。

図面をスキャンしてデータ化すれば、図面の管理に必要な場所や労力を最小限にすることができる他に、必要な図面をすぐに探すことができ、図面情報を簡単に共有することができます。

建設会社さんにとって図面は、古い建物の改修や解体時に必要になるので、建物がある限り長期間の保管を必要とされます。

そこで現有の紙図面をスキャンしてデータ化することで、これ以上劣化することなく図面を保管することができ、場所のムダや探すムダを最小限にすることができます。

当社では、A1などサイズの大きな図面を、ドイツ製のオーバーヘッドスキャナーを初め数種類の専用スキャナーを駆使し、あらゆる図面をデータ化することが可能です。

特に、製本図面に関しては、従来のフラットヘッドスキャナーでは、二つ折り製本を1ページごとに開いて伏せてスキャンする必要がありましたが、当社導入のオーバーヘッドスキャナーによって、高効率に図面をスキャンできるようになったため、大変リーズナブルなご提供を可能にしています。

また、創業60年の実績と信頼で安心してお任せいただけるように、秘密保持契約書や取扱い誓約書、損害保険の3つのサポートをお約束しております。

詳しい料金表は以下のページで詳しくご紹介しておりますので、ぜひご参考ください。

まとめ

当社では紙の図面をスキャンする際は、「シートスルースキャナー」、「フラットベットスキャナー」、「オーバーヘッドスキャナー」と3種類の機器を駆使し、図面サイズや紙の劣化状態・求められる仕様などに応じて使い分けています。

当社内でのスキャニング作業はセキュリティールームで行い、お客様の情報資産を守る体制を整えています。

また、図面をスキャンしてデータ化するだけではなく、後の運用方法をお客様ごとに考え、検索性などを考慮し、リネーム、タグ付け、しおり、リンク機能など便利な運用のご提案をいたします。

お客様側ではスキャンしてデータ化した図面は、運用に便利な自社サーバー内やクラウド上に保管した上で、万が一に備えて「CD-」「DVD」でバックアップをとって、5〜10年おきに新しい記録媒体にバックアップを取り直すようにする事をお勧めします。

さらに法人向けのウイルス対策ソフトを導入して、新種ウイルスも防げるようにしておくことで、データ化した図面を長期間守ることができます。

当社では、A1サイズの大きな図面を、ドイツ製のスキャナーでスキャンして断裁することなくデータ化することが可能です。

図面の管理や場所にわずらわしさを感じたら、ぜひ当社にご相談ください。


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 このコラムは私が書きました。
 

 株式会社 菅 原 代表取締役 立岩敏哉

株式会社 菅 原 について
・1958年青写真屋として創業。
・図面の印刷、製本から始まりドキュメントの取扱い専門業者として63年の実績。
・「日本ドキュメントサービス協同組合」(旧:複写産業協同組合)所属。
・国交省他官公庁、ゼネコン、ハウスメーカー・製造メーカー様等を取引先とし
 時代の変化、お客様ニーズに即応しサービス内容を拡充、
 現在では全国対応の法人向けスキャンサービスを展開。
・業界屈指のスキャナー設備により、同業者からも信頼されるサービス品質を提供。
・2018年「大きいサイズのスキャン専門店」サイト
・2021年「書類・図面のPDF化専門店」サイトを開設