手書き図面などの紙図面は、外注でスキャンしてデータ保管しよう

手書き図面などの紙図面は、スキャンによってデータ化すると、図面管理を行う上でさまざまなメリットがあります。
しかし、例えば製本図面をスキャンできるような、高機能スキャナーを持っている会社はまずないでしょう。


ドイツ製 A1・A2 製本図面専用スキャナー

当社では手書き図面を含む様々な図面を、高精細スキャンさせていただいた実績が多数ございます。
その経験から申し上げますと、各種図面をスキャンする場合に自力で対応するのは難しいため、
実績のある業者に外注するのが最善の策と言えます。



この記事では、

○手書き図面を含む様々な図面をスキャン・データ化する必要性   
○スキャン専門店に高精度スキャンを依頼することでどのようなメリットがあるのか
○当社でできることは何か

以上の点について解説してまいります。

保管しなければならない手書き図面が劣化してきている・保管庫に大量の手書き図面を保管しスペースがとられている・・・等でお悩みの、手書き図面・紙図面のデータ化を検討されている担当者様は、是非、最後までお読みください。



図面のスキャンの必要性は分かっていても……

過去に手掛けた建築物の図面は、物件の増築・回収・取り壊しの際に必要で、使う頻度が少なくても書庫等に保管しておかなければならず、いざ探そうと思ったら時間と手間がかかりますし、限られた収納スペースを圧迫してしまいます。
特に建設会社は、地方の中規模業者であっても、業歴が長いほど紙図面・製本図面を書庫に大量保管することになるため、手書き図面のように古い図面は保管を続けた分だけ状態が悪くなっていきます。



ですから、図面を保管する義務のある企業・業種にとって、図面をできるだけよい状態でスキャンしてデータ化し、メディアで保管する方法は、きわめてメリットが大きいものです。
筆圧の一定でない図面・濃淡のある図面・鉛筆書きが薄くなってしまった図面・こすれて見えにくくなった図面などは、高精細スキャンにより現時点での視認性を劣化させずにデータ化することができます。
しかし、自社図面のすべてにつき高精度スキャンを実現する、またはスキャン後のデータをもとにCADデータとして活用することを考えると、自力では厳しいのが現実です。
以下に、その理由をお伝えします。



誰が・どれだけ・どうやってスキャンすべきか決められない

大量の図面をスキャンしようと試みる場合、まとまった時間と一定数の労力が必要です。
残業させず・余った時間で、スキャンだけを社員にお願いするのは、少数精鋭で会社を回している多くの中小企業において、時間と労力の無駄に感じられることでしょう。
また、自社にA1・A2サイズに対応したスキャナーがあったとしても、忙しい中で他の業務を無視してスキャンを優先することは難しいはずです。 
こうして、将来的にデータ化等の手段によって保管すべきことは誰もが分かっていながら、どんどん作業が遅れて行ってしまうのです。



紙の手書き図面をスキャンして、CADデータに変換したい場合も面倒が多い

手書き図面をスキャンする場合、こちらをCADデータに変換する想定でスキャンするというニーズもあります。しかし、素直にCADデータとして取り扱うことができない可能性が高いでしょう。
一応、方法をかんたんにお伝えしますと、シンプルな方法としては、スキャンしたデータをCAD上に取り込む方法があります。
もう少し詳しく話すと、取り込むべき図面をスキャナーで読み取ったら、ほとんどの場合は白黒2値のラスターとして取り込みます。
※(まれに、凡例があり着色されている場合はカラースキャンする場合もあります)
ラスターというのは、パソコンで扱われる画像の表現方法の一つで、対比されるものにベクターがあげられます。それぞれの違いは、以下の通りです。

<ラスター画像>
・ピクセル(画素)と呼ばれる小さなパーツからできている
・解像度が高いほど単位面積あたりの画素数は大きくなる
・拡大すると画像が汚く見えてしまう場合がある  

<ベクター画像>
・複数の点の位置とそれをつないだ線、色、カーブなどを数値データとして記憶
・データ量が小さい分だけ変形させやすいため、拡大や縮小に向いている
・複雑な描写は苦手な傾向にある

かみ砕いて説明すると、スキャナーでラスターとしてデータを取り込んだ場合、それは画像データなので、それだけでCADデータにすることはできません。
つまり、使えるデータにするためには、ラスターを下書きにCADデータとして「清書」する必要があるため、取り込みのでき次第では二度手間・三度手間になってしまうのです。


CADデータに変換できるシステム・ソフトを使ってもあまり使い物にならない

手書き図面をスキャンして、画像データとして取り込んだ場合、写真をスキャンしたのと同じことになりますから、ラスター形式での保存となります。
そこで、手書き図面の読み取り段階からCADデータに変換できるソフトウェアが各社で開発されています。こちらを使いこなすことができれば、CADへの変換は容易になるでしょう。
しかし、そもそも取り込んだデータに不備があった場合、補正を行う手間がかかります。
具体的には、元の画面にあった折り目・破れた箇所などがデータに反映されてしまうと、イメージを表示する際に見にくくなってしまいます。画像の線や文字が読み取りにくいと、元データの加工・修正が必要になるため、単純にCAD変換システム・ソフトを導入するだけでは仕事に使えず、後からトレースしなければならないのです。残念ながら、当社が知る限り、手書き図面は高解像度でスキャン後にCAD化しても、使い物にならないケースが大半です。
それでも、いざ変換しようと思った場合は、高精度スキャンした方が作業に使える確率は高くなるでしょうから、手書き図面も含め古い紙の図面は、劣化が進行しないようスキャンによるデータ化が推奨されます。


専門店に手書き図面のスキャンを依頼するメリットとは

手書き図面をよりクリアなデータとして保存・活用するためには、専門店のスキャンサービスを使うことをおすすめします。
プロの手を介することで、以下のメリットが期待できるからです。


大量のデータがスキャニング可能

スキャン専門店に依頼すれば、手間のかかるスキャンを一括して行うことができます。
書庫にたまっている古い手書き図面・劣化が著しい青焼き図面のスキャン処理を任せている間に、自社でより重要な課題に人的資源を振り分けられます。
情報量は膨大になりますが、すべてがデータ化し終わったら、それらはサーバー・クラウド上に保存してデータベース化できます。社員全員が、それぞれのタイミングで情報を共有できますから、作業効率化にもつながります。


手書き図面の経年劣化を避けられる

手書き図面など紙ベースの書類は、不適切な保存環境や、粗雑な取扱いによって劣化します。
具体的な原因としては、主に以下のようなものがあげられます。

○温度・湿度の高さ(高くなったり、急激な温湿度の変化があったりすると劣化を促す)
○光(紫外線は紙の主成分のセルロース繊維を弱めてしまい、退色や劣化を起こす)
○ちり・ほこり(虫やカビの温床となり、タバコの煙なども悪影響を及ぼす)
○虫・カビ(清掃が不十分で温湿度が高い環境だと、害虫やネズミの食害やカビによる文章の劣化が起こる)
○粗雑な取り扱い(クリップ・ホチキスで文書を閉じると錆びで劣化、セロハンテープでの貼り合わせも一因)
○酸性紙(時間が経過するにつれて劣化していく)

社内の限られたスペースに、古い手書き図面を保存しようとすると、どうしても倉庫や使われていない部屋に保管される形になってしまうでしょう。しかし、ただそこに保存しているだけで、図面は少しずつ劣化してしまうのです。
もし、スキャニングによって図面を電子化できれば、図面そのものの劣化はそこでストップします。保存媒体となるCD-Rなどは、時期をみて交換する必要はありますが、定期的に行えば劣化の心配はありません。


余った場所を有効活用

スキャンが進み、データ化が一通り完了すれば、古い図面は処分できます。すると、図面を保管していた場所を、別の目的で使用できるようになります。
どうしても処分できないものだけを地下深くに保管して、空いた部屋を会議室・応接室・休憩室などに使うことができれば、社員の仕事に対するモチベーションアップにもつながります。
自社のスタッフだけでは対応できなかったことも、スキャン外注によってスピーディーに解決します。



株式会社菅原にできること

昭和33年から印刷・コピー・製本に携わってきた当社は、創業60余年の歴史の中で信用・実績を積み重ねてまいりました。そのおかげで、例えば以下のようなユーザー様のお悩みにも、適宜対応可能でございます。


ボロボロ・破れている手書き図面をスキャンしたい

スキャンを検討している時点で、すでに劣化が進行している手書き図面の場合、ボロボロ・破れている状態のものは珍しくありません。これらを自力で修復してスキャンするのは、あまり現実的な選択肢とは言えません。
当社では、破れ・ちぎれ・傷みのある原稿について、キャリアシートと呼ばれる透明の保護フィルムにはさみ、シートスキャナーを使ってスキャン致します。
原稿の状態によってスキャナーを使い分けたり、メンディングテープによる補修を行ったりして、理想のデータに仕上げます。


大きなサイズの手書き図面をスキャンしたい

当社でスキャンできる最大サイズは、以下の通りとなっております。

○二つ折り製本、固定製本などの製本図面
→フラット及びオーバーヘッドスキャナーでA1サイズ(841mm×594mm)まで

    

○バラ図面、ポスターなどのシート原稿、長半紙の習字作品など長尺原稿
→シートスキャナーで914mm×30000mm(条件あり)まで

 

○絵画・パネル・冊子・かけ軸などの厚みのある原稿
→フラットベットスキャナーで912mm×1220mmまで

 

もし、上記の大きさを超えてしまいそうな場合は、分割で撮った画像をPhotoshop上で繋ぎ合わせて加工を行い、1つのデータにすることもできます。詳しいご希望をお聞かせください。


できるだけ高い解像度でスキャンしたい

当社では、さまざまな原稿のタイプに応じた機器をそろえております。
例えば、絵画・古地図・掛け軸などの細密なスキャンに対応できるモデルの
最大解像度は1440dpiです。
ただ、解像度によってデータ化できる範囲が限られますので、ご希望の大きさのご指定をいただいた上で、そのサイズ感での最大解像度をお知らせすることも可能です。
詳しくはお問い合わせください。

    

手書き図面等のスキャンを検討しているが、どのような形で進めればよいのか分からない

当社にご依頼いただければ、ユーザー様のデータ使用環境に合った最適な方法をご提案致します。
当社では、以下のような「スキャンのみを手掛ける会社ではスルー・オプション扱いされる作業」を標準対応とさせていただいております。

○画像向き修正

 左の画像は、製本に対し斜めの図面を調整せずそのままスキャンしています。
 右の図面は、作業担当の手で製本を正面に向かせ、正面に向けることで平行に整ったデータに出来ます。

    
          他社標準                    当社標準 

○トリミング処理

 左の図面は、図面の大きさが変わっても読取サイズを調整していないので影が出ています。
 右の図面は、図面1枚1枚のサイズに合わせ読取サイズを調整している為、1枚1枚が綺麗なデータです。

    
         他社標準                     当社標準

また、スキャン後のデータをどう活用するのかについても、豊富な実績を参考に、ユーザー様の用途に合った運用のご提案をさせていただきます。お気軽にご相談くださいませ。


手書き図面等のスキャンについて、料金を教えて欲しい

ご依頼いただく内容によっても変動致しますが、枚数や用紙の大きさ・カラー/モノクロの別で分けた場合、以下のような価格体系となっております。

<価格表  (カラーオーバーヘッドスキャナー ZEUTSCHEL OS12000 A1 使用)>

【基本料金:1,100円】

 モノクロカラー
枚数A2・B3A1・B2A2・B3A1・B2
~100枚198円/枚308円/枚308円/枚418円/枚
~500枚187円/枚286円/枚297円/枚396円/枚
1,000176円/枚264円/枚286円/枚374円/枚
5,000165円/枚242円/枚275円/枚352円/枚

なお、こちらはあくまでも一例であり、スキャナーの種類やご依頼いただく量に応じて、金額は変動致します。
大量の場合は別途お見積り致しますので、その旨をお申し付けください。


まとめ

手書き図面をスキャンしてできあがったデータは、CAD化して活用しようと思っても、仕事には使えない例が多く見られます。
また、古い図面はそのまま残しておくとどんどん劣化していくため、やがて資料としての役割さえ満足に果たせなくなります。利用頻度は低くとも、大事な図面は一通りスキャン・データ化して保存することが、御社の貴重な財産を守ることにつながります
たくさんの図面がある場合は、スキャンの作業だけでも手間がかかるものですから、まずはプロに相談することをおすすめします。

   



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 このコラムは私が書きました。
 

 株式会社 菅 原 代表取締役 立岩敏哉

株式会社 菅 原 について
・1958年青写真屋として創業。
・図面の印刷、製本から始まりドキュメントの取扱い専門業者として63年の実績。
・「日本ドキュメントサービス協同組合」(旧:複写産業協同組合)所属。
・国交省他官公庁、ゼネコン、ハウスメーカー・製造メーカー様等を取引先とし
 時代の変化、お客様ニーズに即応しサービス内容を拡充、
 現在では全国対応の法人向けスキャンサービスを展開。
・業界屈指のスキャナー設備により、同業者からも信頼されるサービス品質を提供。
・2018年「大きいサイズのスキャン専門店」サイト
・2021年「書類・図面のPDF化専門店」サイトを開設